理科の勉強法 木のむし焼き

2017/11/03
  • 木ガスが発生したので火をつけてみた
  • 加熱を始めたところ

予習シリーズ5年㊦理科第7回 「物の燃焼」より

今回は「物が燃える」という現象が空気中の酸素と熱や光を出しながら結びつくことであることを、燃焼の条件と共に学習しました。足立区の塾、うめだ志学塾では「実験重視」ということで、「気のむし焼き」に挑戦してみました。

画像1のように装置を組み立て加熱すると、ほどなく試験管の中に白い煙(木ガス)が発生しあまり時間もかからず実験が進行していきました。ガラス管から木ガスが出てきた段階で点火をすると、子どもたちは「わぁっ」と歓声を上げ、木ガスこそ炎を出して燃える成分であると理解した模様です。

同時に液体成分である木酢液、木タールが試験管のゴム栓付近にたまりだし、黒褐色である木タールの方が下の方にたまるため重い液体であると確認もできましたが、そのにおい(木酢液のもの、これ、手につくと当分落ちないんですよね)の強烈なことに辟易したようです。中にはどういうわけか鼻が利かず、なんで皆がキツイにおいのためにワーワー言っているのか理解できてない子どももいました。(そういえばアンモニアの噴水実験のときも、この子は刺激臭に鈍感だったけなぁ)

木炭が出来上がり、さらにこれを燃やしてみると炎を上げずに燃えることから、そうか!炎の成分は木ガスとしてすでに出ていってしまったのだ!ということで実験終了です。

ところで、教材には「木材を空気中で熱すると、酸素と結びついて燃えてしまい、灰になります。しかし、空気をあたえないで熱すると、気体や液体が出て木炭ができます。このように、物質を気体・液体・固体に分解することを、むし焼きといいます。・・・」とあり、14行にわたって説明文があります。

小学生の場合それこそ、百聞は一見に如かず、でこのように実験して実地に理解したことは不思議なほど忘れないものですが、中学生くらいになりテスト前などにまとめをしている生徒をみると、理科に限ったことではありませんが、教科書を丸写し、この一言一句を覚えようというのか?とこちらが困惑するような勉強法を実行しているのを見かけます。

そんなときはいつも「図に書いて覚えよう」と指導しています。例えば、画像3のようなものを書いてそれを覚えるのです。かつて中学生だったころ、ぼくはテスト前になると決まって参考書をまとめていました。これでも生真面目な方だったのでそれこそ丸写し。テスト三日前ぐらいになっても終わらず、泣きながら夜遅くまでその作業を続けたものです。ところがある日、今は亡き星新一さん(SF作家でショートショートなる分野の創始者)のある随筆を読む機会があり、そこいは「カンニングペーパーを作ってみよ」とありました。ご本人も述べられていましたが、それを作ろうとすると、小さくまとめなくてはならず、覚えるべき事柄を必要最小限に圧縮しなくてはならず、何が必要で何が必要でないかを見極める力が自然と養われ、結局はカンニングペーパーに頼らず、テストにのぞむことができるのです。

それ以来、科目によらず図や表を駆使して内容をまとめる手法を覚え、あるいは編み出し丸暗記の必要を感じなくなりました。子供たちにはこう言うのです。「考えて導き出せることはおぼえなくてよい。覚えるべきことは、図や表を自分なりに工夫して作って覚えよ。」

もちろん、見本のようなことは授業中にみせたり、個別にやって見せたりしていますが、でも、自分なりでよいのです。

学習の基本は暗記です。覚えているからこそ、話もつながるし、応用・発展事項への理解も可能になるのです。しかし、「覚える能力」は誰にも等しく与えられているものではありません。だからこそ、図表が役立つのです。しかもそれを、多少時間がかかろうとも自分なりにこしらえていけばそのことは一生忘れないものになるでしょう。