小学生理科 水の沸騰
水蒸気の存在というのは、なかなか小学生には理解しがたいようで、ましてや蒸発と沸騰の違いとなると・・・。
予習シリーズには
蒸発=水の表面からすいじょうきになること
沸騰=水の内部から水蒸気になること
のような記述がありますが、つまるところ大気圧というものを考えに入れないとわかりにくい。
最近では、小学生の教材にも原子や分子のイメージを持たせるような説明を散見しますので、われわれも、水の分子、という最小単位があり、それらがラグビーのスクラムのようにがっしり結びついたものが氷(固体)、手と手をつないだ程度の緩いつながりが水(液体)、ひとつひとつが勝手に飛び回っている様子が水蒸気(気体)、のような説明を少しづつおこない、中学・高校で学ぶときのイメージづくりをしています。
そしてその分子たちを元気にしているものが熱であり、たとえばある温度の気体状態の水分子のエネルギー分布は、教室から校庭を眺めると走り回っている子供もいればジッとしている子供、ゆっくり動いている子供とその様子がさまざまであるのとおなじこと。だから、同じ温度でも空気中に飛び出す分子もいれば、そうならない分子もいる(これが通常の蒸発)、また、逆に何かの拍子で空気中から液体の水に飛び込んでしまい(分子間力に勝てずに)そのままなかにいる分子もいる、でもいつも空気の力がのしかかっているんだよ、だから、温度を上げて元気にしてあげて、空気ののしかかってくる力と同じになったら、どの分子も空気中に出ていくことができる、それが沸騰なんだ。
のように話を進めていますが、なかなか根気がいります。でも、少しづつイメージが湧いてきている子供は、シリーズにも記述がありますが、
じゃあ、高い山の上に登れば空気の重さが減るから、はやく(低い温度でということでしょう)ふっとうするの?
と聞いてきます。
まことにそのとおり。というわけで、実験です。3000m級の山頂に行くわけにはいかないので、ある程度暖めたビーカーの水を簡易真空装置に入れ、手動で空気を抜き、強制的に減圧していきます。手動なのでなかなか疲れる実験です。しかし、その甲斐あってか、割と早い時間でビーカーの水全体に水蒸気の泡が湧きたちます。
子供たちがどれほどびっくりしたか、みなさん想像できますでしょうか?
我々志学塾は、実験・工作などを通じて子どもたちの日々の疑問にも全力で対応し、なぜだろう、どうしてだろう、と考える気持ちを育んでいます。